本物のリーダーの生まれ方-宋文洲メルマガより

以前にもご紹介した宋文洲さんのメルマガですが昨日の記事も腹に落ちる納得感があったのでご紹介します。アメリカの大統領は予備選の長い闘いを経て鍛えられていくのでしょうね。そうして任せたからには4年間は見届ける。。。どこぞの国とは大違いです。でもどこぞの国もそろそろ足踏みしていないで真面目にやらないと。。。

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1.論長論短 No.148
本物リーダーの生まれ方
宋 文洲

料亭の生簀に小さな魚群が泳いでいます。常連客がそれを見つめているうちにあることに気付きました。先頭を走っている魚がいつも同じで、その少し後ろに付いている魚もだいたい決まっています。つまり、リーダーが居てその左右を固めるNo.2とNo.3が居るということです。

この常連客がとても好奇心旺盛な方で魚のリーダーが居なくなった場合、次のリーダーに誰がなるか、どうなるかが気になりました。彼が店主にお願いしてリーダーの魚を生簀から取り出すことにしました。

さて皆さん、急にリーダーの居なくなった魚群がどうなったと思いますか。新しいリーダーが誕生するのでしょうか。誕生するとしたら、誰がリーダーになるか、どうやってなるか。読み進む前に少しばかり目を閉じて考えていただけますでしょうか・・・。

No.2かNo.3がリーダーになると考える方が多いかもしれませんが、正解は違います。魚群がしばらく混乱と無秩序に陥りますが、やがて再び魚群を成して泳ぎだすのです。その時も必ず先頭を走るリーダーが居ますが、なんとリーダーの魚は元のNo.2でもなくNo.3でもなく、見たことのない魚でした。

経営アドバイザーをやってきたここ数年、たくさんの後継者選びをみてきましたが、正直成功事例が少ないのです。長年をかけて「後継者を育てる」と豪語した社長に限ってその後継者が冴えないケースが多いのです。

国家も同じです。スターリン毛沢東も後継者の育成と指名で悩み続けました。死ぬまで悩んだ結果の後継者が彼らの死後に必ず短命で終わります。本物リーダーにとって代わられるのです。

リーダーは元リーダーが選ぶものではありません。闘争によってのみ本物リーダーが生まれるのです。その闘争の形が自由選挙か、人心掌握かはともかくとして闘争はリーダーとしての力量を正しく測定する唯一の方法なのです。

リーダーの力量を測定している間はトップ不在のトップ争いが続きます。その闘争は醜いものであったり、不透明であったりします。闘争の間の組織は方向性を失い、彷徨い続けるガウス状態に陥るのです。

しかし、その混乱と混迷からやがて本物リーダーが生まれるのです。宇宙の粉塵から巨星が生まれるように、天地の混沌から神が生まれるように、経営危機から名経営者が生まれるように。

名経営者が選んだ経営者はほとんど冴えません。天才指導者が育てた後継者はほとんど権力の頂点に留まれません(世襲は例外)。これはなぜでしょうか。それは本物リーダーが選ばれるものではなく、混乱や困難を通じて生まれるものだからです。

民主主義になったからといってこの原則が動揺するものではありません。日本の政治をみれば一目瞭然です。5年間で7人もリーダーを選んだのですが、本物リーダーが出現したとあなたは思うでしょうか。

でも大丈夫。やがて本物リーダーが生まれます。あなたが選ばなくても。

(終わり)

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日本の会社にオーナー社長で取り捲きに囲まれて満足しているような輩でなくてスティーブ・ジョブスみたいな強いリーダーシップを持った人がもっと出てきて欲しいですね。